「山田錦の由来って何だろう?」
このような疑問に答えます。
酒米生産量のシェアNo.1の場所である兵庫。
そんな兵庫の酒米の中でも、最も作られているのが「山田錦」です。
山田錦は量だけではなく、「酒米の王様」と呼ばれるように、現在最高峰に位置する酒造好適米として高値で取引されています。
そんな山田錦ですが、名前の由来について知らない方も多いはず。
そこで今回はそんな山田錦の由来から山田錦で作られたおすすめの日本酒まで紹介します。
□酒米と普通のお米の違い
日本酒の原料である酒米(酒造好適米)は普通のお米と少し違う点があります。
大きな違いは以下の通りです。
・粒の大きさ
一つ目の普通のお米との違いは、米の粒が大きいこと。
酒米は日本酒を作る工程の中で、「精米」という米の表面を削る作業を行わなければいけません。
そのため普通の米の大きさだと、砕けてしまう恐れがあるのです。
・心白(しんぱく)
心白とは、米の中心部にある白くて不透明な部分を指します。
心白はすき間が多い特徴があるため、麹菌が繁殖しやすくなり、良質な麹(こうじ)が作られるのです。
またタンパク質があまり含まれておらず、粘土が高い性質も兼ね備えています。
・醸造適性
醸造適正とはお酒にどれだけ醸造しやすいかのことを指します。
蒸米吸水率など日本酒における重要な過程で酒米は適していると言えます。
□山田錦とは?山田錦の概要
山田錦は高い品質から、「酒米の王様」と呼ばれている酒米のことです。
最近の全国新酒鑑評会に出品する日本酒のほとんどが原料米として山田錦を使用しています。
兵庫県で人工交配により作られ、現在も主に兵庫県で栽培されています。
□山田錦の誕生と由来
*山田錦の誕生
山田錦は1923年、兵庫県立農業試験場にて「山田穂」と「短稈渡船」を人口交配し作られました。
1936年に山田錦と命名され、その後何度か品種改良が行われています。
*山田錦の由来
山田錦の名前の由来は主に以下の3つの説があります。
・伊勢山田の一穂を持ち帰った説
・山田町藍那の地名を取った説
・山田勢三郎が俵に山田穂の焼き印を押して出荷した説
それぞれ詳しく解説していきます。
*伊勢山田の一穂を持ち帰った説
一つ目の説は美嚢郡吉川町の田中新三郎が伊勢山田付近で、当時の酒造家が好む酒米を発見し、一穂持ち帰った説です。
いざその稲穂を植えてみると、立派な酒米ができたそうです。
そして愛飲家からも好評を得たため、豊受大神を祭る伊勢山田にちなんで、山田穂と名付けられたと言われています。
*山田町藍那の地名を取った説
二つ目の説は山田藍那の地名を取った説です。
神戸市北区山田町藍那にて良質の酒米が育ち、1890年の内国勧業博覧会で日本一になりました。
そこから神戸市北区にある山田町の地名を取って、山田穂と名付けられたと言われています。
*山田勢三郎が俵に山田穂の焼き印を押して出荷した説
最後の説は山田勢三郎が山田穂の焼き印を押したのがきっかけとする説です。
□山田錦の特徴
山田錦の特徴としては、
・米粒が大きく、心白米に光沢がある
・タンパク質の含量が少ない(雑味が少ない)
・吸水性・消化性が良い
ことが挙げられます。
これによりこうじ菌糸が繁殖していく度合いが高くなり、麹の質が良くなります。
□兵庫県産の山田錦が優れている理由
山田錦は兵庫県産が8割を占めますが、兵庫以外にも岡山県、山口県など全国30の都道府県で生産されています。
しかし兵庫の自然条件が山田錦の栽培に適しているため、全国の山田錦の中でもより高品質なものに仕上がっています。
六甲山の北側にある山間部は瀬戸内海式気候により、日照時間が長く比較的温暖。
一方で夜は冷えるため、昼と夜の寒暖差が激しく、稲の実りが早まります。
さらに粘土質の土壌は水分と養分を保ちやすくしており、山田錦の生育に最適な環境を構築しています。
□山田錦から作られたおすすめの日本酒
*超特撰白雪江戸元禄の酒
超特撰白雪江戸元禄の酒は、兵庫県伊丹市にあるメーカー「小西酒造」が作る逸品。
「ブリュッセル国際コンクール日本酒部門サケ・セレクション2018」熟成古酒部門の部門最高賞であるトロフィー賞を受賞。
小西家の秘伝書「酒永代覚帖」をもとに、江戸の元禄時代に飲まれていたお酒を再現しています。
仕込み水は現在の半分の量ほどしか使用せず、米はあまり研磨しません。
原材料は国産の米と米こうじのみ。
日本酒度-35、酸度3.3と超甘口、超濃厚の日本酒に仕上がっています。
*櫻正宗 焼稀 生一本
櫻正宗 焼稀 生一本は山田錦を全量使用した生一本。
「ブリュッセル国際コンクール日本酒部門サケ・セレクション2018」純米酒部門のシルバー賞を受賞。
山田錦のやさしい味わいが特徴的です。
味わいは日本酒度+2.0、酸度1.5の辛口。
人生に一度は味わいたい生一本となります。
□まとめ
今回は山田錦の由来について解説しました。
山田錦の名前は
・伊勢山田の一穂を持ち帰った説
・山田町藍那の地名を取った説
・山田勢三郎が俵に山田穂の焼き印を押して出荷した説
の3つが主な由来とされています。
サケ・セレクションは、日本酒の醍醐味や日本の文化を世界に発信するために、出品酒を世界中の専門家から選ばれた審査員に評価してもらうブリュッセル国際コンクール(CMB ベルギー)日本酒部門で、2020年から日本国内で毎年開催を目指しています。
第二回開催が、兵庫県での開催が決定しました。
詳しくは、「第2回開催2020年実施について」で今後ご紹介していきます。